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幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

クリスマスの夜 5

「あら、お帰り。寒かったでしょ?」と咲夜が出迎えてくれた

あの男が消え、心が複雑なまま家へとついたのだった

「ああ、ただいま」

「どうしたの?元気無いわね。何か悪いことでもあったの?」咲夜が流星の顔を覗いている

「うちの会社の隣の席に座ってた幸樹ってやつが昨日交通事故でなくなったんだ」

「それはかわいそうに…年は幾つだったの?」

「俺と同期だから同年齢だよ」

「23歳ね…とても若いじゃない。これから人生が面白くなってくるっていうのにね」

「ああ、全くだ。これからだっていうのに…」流星がため息をついた

「まぁそんなくらい話は今は忘れて、家庭では楽しい事を話しましょうよ、ね?」

「そうだな」と言い流星は笑って見せたがやはり悲しいものは悲しかった

あの男の言葉を思い出す 愛しき人、大事な人を守るために使え 咲夜はきっと大丈夫なはずだ。これから一緒に暮らしていくと決めているからだ

自分の心に言い聞かせ、咲夜のスケジュールを今日は見るのをやめた

そして、家庭では笑顔を作り、咲夜を心配させないようにした

一夜明け、クリスマスの日まで、結婚記念日まであと3日となった

咲夜の作った朝食を食べ、着替える

「咲夜、行って来るよ」と言うと

「行ってらっしゃい」と咲夜は流星の頬にキスをした

そうして駅に向かう。駅にはたくさんの人が溢れていた

みんなどんなスケジュールなのかなぁと思いいろんな人のスケジュールを一斉に見てみた

すると、どれも7時15分でスケジュールが消えていた

そうして確信した。電車の脱線事故が起きると。

「次の電車の乗っちゃだめだ!!脱線事故が起きる!!」 流星はその場で叫んだ

だがしかし、みんなは驚いた顔をして小さい声で「なんだあいつ」、「頭がおかしいんじゃないのか?」などと口々にしている

どの人のスケジュールも7時15分で消えたままだ。もう叫んでも無理だと確信した流星はバスに乗って職場へと向かった

そうして職場につくとテレビの前にみんなが群がっている

「どうしただ?」と流星が聞くが予想はできていた

「おお、流星!おまえいつもこの時間の電車に乗ってたから死んだのかと思っていたけど・・・よかったよ、本当によかった」

同期の仲間、雄太(ゆうた)が泣いて喜んだ

「おいおい、泣くなよ」

「それにしても何で今日は電車に乗らなかったんだ?」と雄太が聞くと

「嫌な予感がしていたんだよ」と答えた 本当のことなんて言えるはずが無い

テレビの画面に映っていたものは電車脱線乗客全員死亡の文字だった…


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